「大田区無防備平和条例案」に対する
         大田区議会本会議採決の結果を受けて

                     大田無防備平和条例の会
                            会長 松本武祝

 “Think Globally, Act Locally.” 人口に膾炙しては費消つくされてきた標語
があまたある中で、この標語もそんなひとつになりつつありました。ジュネーブ
諸条約の精神を地方自治体条例に活かすという課題を掲げることによって、わた
したちの運動はこの標語に、ささやかではあれ新たな息吹を注ぎこんだと自負し
ています。
 4月末からのひと月間の署名活動期間には、1万5,000筆を越える大田区の皆
さんの署名をいただくことができました。その付託を受けて、去る7月4日、大
田区長に対して「大田区無防備平和条例案」制定の直接請求をおこないました。
そして、7月21日の夕刻、大田区議会臨時会本会議における審議の結果、本案は
否決されました。

 “Think Nationally, Act Nationally.” 本会議に先立つ防災安全特別委員会お
よび本会議において繰り返し表明された区議たちの反対意見に通低する発想を要
約すれば、こうなるでしょう。“地方自治体は無防備地域の宣言主体とはなりえ
ない。「軍当局」との交渉主体ともなりえない。”の一点張りに徹した彼(女)た
ちの発言には、地方自治体議員としての気概も使命感も感じることができません
でした。
 彼(女)たちの無気力さは、わたしたちを落胆させるに十分なものでした。ただ
し他面では、それは、国民保護計画において地方自治体の「協力」をあえて強調
した国家の思惑とも背反するのとなるのではないでしょうか。国家が既存の官僚
システムを超えた新たな総動員体制の構築を目指しているのであれば、その前提
として地方自治体が新しい「主体」として立ち上がってこなければならないから
です。

 “Think Nationally, Act locally.” 地方自治体は、近い将来、「主体」となる
べく国家から叱責される自分を発見することになるはずです。それは、わたした
ち地域住民にとっては、まちがいなく悪夢のような事態となるでしょう。と同時
に、それは、“われわれは「主体」ではないので・・・”という区長や区議たちの逃
げ口上が通用しなくなる瞬間でもあります。地方自治体という「主体」に戦争協
力の道を選ばせるのか、国際平和の道を選び取らせるのか、その瞬間は、わたし
たちの運動にとっても真の力量が試される決定的なものとなるでしょう。
 7月21日、採決のための本会議に先立つ審議の場として、安全防災特別委員会
が選ばれました。どのような意図でこの委員会が選ばれたのかはよくわかりませ
ん。その理由いかんにかかわらず、国民保護計画を所管するこの委員会において
わたしたちの条例案が審議されたことは、将来のその決定的瞬間をすでに暗示し
ています。

 さて、ご挨拶が遅くなってしまいましたが、この間、わたしたちの署名活動に
参加、協力してくださった多くの方々に、あらためてお礼申し上げます。とくに
この度の議会審議において、四面楚歌のような状況で賛成意見を表明してくだ
さった区議の方々の勇気には感謝を申し上げたいとおもいます。また、賛成にま
では至らなかったものの、わたしたちの条例案を評価してくださり側面支援して
くださった区議の方々にもお礼申し上げます。

 条例制定を目指す運動は、これでひと段落つくことになります。しかし、これ
で終わりということでは決してありません。上でも述べたように、いま、まずは
第一歩を踏み出したところだと考えております。これからも、息のながいご協力
とご支援をいただけるよう、区民のみなさまに改めてお願い申し上げます。