意   見

 今回の直接請求に係る条例案(以下「本条例案」という。)は、自治体として
住民の平和と安全を保障することを目的として(第1条)、区民の平和的生存権
(第2条)、区の責務(第3条)、無防備地域宣言(第4条)、無防備地域事業の
推進(第5条)、平和予算の計上(第6条)等について定めるというものです。
 本条例の中心は「無防備地域宣言」であり、これは、ジュネーブ条約第一追加
議定書第59条を根拠に、戦時下において特別な保護を受ける地域として宣言す
るものです。そして、この宣言は「適当な当局」が、戦闘員の撤退、兵器と軍用
設備の撤去、敵対行為の不存在等、無防備であることの要件を満たしていること
を条件に宣言ができるというものです。自らの権限によってこれらの要件を満た
すことができる「適当な当局」は国であり、そもそもこの権限は本区にはありま
せん。
 また、この宣言については、国は、「当該地域の防衛に責任を有する当局、す
なわち我が国においては、国において行われるべきであり、地方公共団体がこの条
約の無防備地域の宣言を行うことはできない」とし、したがって、「例えば特定の
都市が宣言したとしても、それは条約において規定されている宣言には当たらな
い」との見解を示しています。
 よって、本区がこの宣言を行うことを条例として定めることは、地方公共団体は
その権限に属する事務に関しては条例を制定できるという地方自治法第14条第1
項の規定に抵触するため、本条例案による条例制定に反対します。
 本区は、昭和59年8月15日に「大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和
都市であることを宣言する」とする大田区平和都市宣言を行いました。今後も、こ
の宣言に基づき、非核平和と国際交流に関する施策に取り組み、世界の恒久平和の
実現へ向けて努力していく所存であります。
 平成18年7月19日
                   大田区長 西 野 善 雄