日本共産党大田区議団
同 大田地区委員会 御中
2006年7月12日 大田無防備平和条例の会
7月8日付「『大田区無防備平和条例』案についての見解」に対する質問書
貴党の日ごろの御活躍に心より敬意を表します。
地方自治法にもとづく「大田区無防備平和条例」制定の直接請求署名が17626筆
あつまり、7月19日、21日に開かれる大田区議会で審議されることになりました。大田
区無防備平和条例案は、「国際平和を誠実に希求し、戦争と武力を国際紛争の解決の手段
としては、永久にこれを放棄するとした日本国憲法の平和主義の理念、政府の掲げる非核
三原則、ならびにジュネーブ条約という国際人道法を踏まえ、前文の趣旨にのっとり、自
治体として住民の平和と安全を保障すること」(第1条)を目的としています。憲法の非武
装・平和主義、国際法の戦争違法化・武力行使禁止の原則・紛争の平和的解決義務(国連
憲章)、非戦闘員である文民保護の原則(ジュネーブ条約)の到達点を地域に活かしてい
く条例です。
特に、無防備地域に対する攻撃は国際法の重大な違反行為として厳しく罰せられる点を
踏まえ、この条例案は無防備地域の条件を普段から大田区に実現していき、区民の生命・
財産を守るとともに、戦争非協力の都市をつくることをめざしています。無防備条例に賛
成意見を出した東京都国立市長は「このような条例を持つ自治体が全国に広がり、たとえ
国の姿勢が『戦争のできる国』であろうと、憲法9条を実現化させようとする『無防備に
よる戦争放棄のまち』が日本全土を包囲し、実質的な『無防備による戦争放棄の国』にな
らんことを、切に希望します」と意義を述べています。無防備平和条例は日本とアジア、
世界の平和を創造するものです。
ところが、貴党は、「7月8日見解」でこの条例案に反対であるとのべられました。これ
まで10自治体で共産党議員の皆さんが、無防備条例案に賛成の立場で奮闘されていたこと
を思うと理解に苦しみます。また「7月8日見解」のなかには、誤解やよく意味の取れない
点があります。そこで、条例案の実りある審議を期待する立場から、以下3点について質
問しますのでお答えいただければ幸いです。
1 ジュネーブ条約と憲法の関係について
ジュネーブ条約第一追加議定書59条にもとづく無防備地域宣言に対し、貴党の「7月
8日見解」は「憲法9条の理念とは異なるもの」(p2・26行)と述べられています。日本
共産党はジュネーブ条約批准を審議する国会で(04年5月20日)、「ジュネーブ条約第
一、第二追加議定書は、国連憲章によって戦争が違法化されながらも、現実に発生する武
力紛争において、紛争犠牲者を保護する国際人道法として積極的意義を持つものであり、
批准に賛成するものであります」(赤嶺政賢氏)と賛成しました。批准賛成ですから、憲法
とジュネーブ条約は適合すると判断されたわけです。批准され発効した国際条約は国内法
として法的拘束力を有することになります(憲法98条二項)。
そこでうかがいます。
(1) 批准賛成の立場は今も変わらないということでよろしいですか。
(2) ジュネーブ条約と憲法は適合すると判断されていることでよろしいですか。
(3) ジュネーブ条約第一追加議定書59条「無防備地域宣言」についても憲法と適合
するのではないですか。
(4) 59条を国内法・条例に具体化することも憲法と適合するのではないですか。
2 「当局又は住民により敵対行為が行われないこと」について
無防備地域の4条件の一つに「当局又は住民により敵対行為が行われないこと」と記
されている、この敵対行為とは戦闘行為をさします。ゲリラなどによる武装抵抗や破壊活
動などです。敵対行為について日本赤十字社発行の「赤十字と国際人道法:普及のための
パンフレット」には次のように書かれています。「国際人道法は、敵対(戦闘)行為に参
加しないすべての人を保護することが目的ですから、武器を持ち、敵対行為に参加する戦
闘員はもちろん、たとえ文民であっても敵対行為に直接参加するものを一般的に保護する
ものではありません」(p8)。
「7月8日見解」では、59条の「住民により敵対行為が行われないこと」をさして、
「住民の当然の権利の否定」(2p30行)、「戦争に反対するという住民の権利を否定す
る条項」(18,19行)だとしています。敵対行為としての戦闘行為、武装抵抗闘争を住
民の権利として行う立場と読めますが、はたしてそうなのでしょうか。
そこでうかがいます。
(1)59条「無防備地域宣言」で言うところの敵対行為である戦闘行為を「住民の当然の
権利」として堅持する立場ですか。それとも、敵対行為を広く住民の非武装による
政治活動・デモ・ストライキなどと誤解されているのではないですか。
(説明のため付け加えます)日本が戦場となることや占領されることは、政府も想定さ
れないとしていますが、理論的想定として仮に占領がありうる場合でも、ジュネーブ条約
では、占領地でも住民の基本的人権・財産権を保障し、法や行政制度を尊重し変更を加え
てはならないとしています。警察制度も存続・保証されます。住民は普通に生活し、平和
的な手段での抵抗(市民レジスタンス)はできるのです。無防備地域は「無条件降伏」
(2p15行)でも白旗降伏でもないのです。
(2)「軍政、徴用などに一切抵抗しないことが義務付けられます」(2p15行)というの
も誤解ではありませんか。ジュネーブ条約のどこに書いてありますか。
ジュネーブ条約は「文民保護」を原則とし、たとえ武力紛争となっても基本的人権
を保障する内容が事細かに定めてあります。
3 これまでの他自治体で同趣旨の無防備平和条例案審議が行われ、共産党議員団のみな
さんが賛成の立場で奮闘された事実がありますが、賛成された議員団の対応は誤っていた
とお考えですか。
最後に、回答については議会審議が始まる前日7月18日までに文書でいただければ幸いです。
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